「木育(もくいく)」という言葉を聞いたことがありますか?
木のおもちゃで遊んだり、木工を体験したり、森の中を歩いたり。
こうした活動を「木育」と呼ぶことがあります。
でも、木育は単に「木に触れて遊ぶこと」だけではありません。
木に触れ、木について知り、木や森と自分たちの暮らしとのつながりを考えてみる。
そんなところまで含めて、「木育」という考え方があります。
今回は、そんな「木育」について、少し掘り下げてみたいと思います。
木育とは?
「木育」は、平成16年(2004年)に北海道で提案された言葉です。
北海道では、木育を
「木とふれあい、木に学び、木と生きる」
取組として紹介しています。
子どもの頃から木を身近に使うことを通じて、人と木や森との関わりを自分自身で考えられる豊かな心を育むことを目指しています。
一方、林野庁では、子どもから大人までを対象に、木材や木製品との触れ合いを通じて、木材への親しみや木の文化への理解を深め、木材の良さや利用することの意義を学ぶ活動として「木育」を推進しています。
つまり木育は、
「木を好きになる」ことから始まって、
「木ってなんだろう?」
「森ってどうなっているんだろう?」
「私たちの暮らしと木はどうつながっているんだろう?」
と、興味を広げていく学びともいえそうです。
木育は「木に触れる」ことから始まる
では、木育にはどんな活動があるのでしょうか?
実は、特別なことをしなくても、身近なところから始めることができます。
たとえば、
-
木のおもちゃで遊ぶ
-
木の家具や食器を使ってみる
-
木の枝や葉っぱを観察する
-
森や公園を歩いてみる
-
木工を体験する
-
木の種類を比べてみる
-
木目や年輪を観察する
こうした体験も、木育につながります。
林野庁が紹介している木育の取組にも、木のおもちゃに触れる体験や木工ワークショップ、森林での体験など、さまざまな活動があります。
大切なのは、「木について覚えること」だけではありません。
実際に触って、見て、匂いをかいで、使ってみる。
そこから「どうしてだろう?」という疑問が生まれることが、木育の面白さのひとつです。
積み木も、身近な「木育」のひとつ
そう考えると、積み木は木育の入り口として、とても身近な存在です。
積み木を手に取ったとき、
「この木、なんだかいい匂いがするね」
「こっちは少し色が違うね」
「木目がまっすぐだね」
「この木は重い?軽い?」
そんな小さな気づきが生まれます。
さらに、
「この木はどこで育ったのかな?」
「木はどうやって大きくなるの?」
「木を切ったら、森はどうなるの?」
と、興味を広げていくこともできます。
積み木は、ただ「積むための道具」ではありません。
遊びながら、木そのものに興味を持つきっかけにもなる。
そんな見方をすると、いつもの積み木遊びが少し違って見えてきませんか?
「木の違い」を比べてみるのも木育
木育は、木の種類を知ることからも始められます。
たとえば、これまでの記事で紹介したスギとヒノキ。
どちらも日本で身近な針葉樹ですが、木目や色、香り、硬さなどには違いがあります。
杉(スギ)と檜(ヒノキ)は何が違う?積み木に使われる木材を比べてみました! | つみきーずのもり
さらに、ケヤキやブナなどの広葉樹と比べてみると、また違った特徴が見えてきます。
「この木は木目がはっきりしているね」
「こっちは細かい模様だね」
「触った感じが違う!」
そんなふうに比べてみるだけでも、木への興味はぐっと深まります。
木目ってなんだろう?木目を通じて、木が育ってきた時間を感じてみよう! | つみきーずのもり
そして、木目を見ているうちに、
「この木は、どんなふうに育ってきたんだろう?」
という疑問も生まれてきます。
木目や年輪は、長い時間をかけて成長してきた木の姿を感じるきっかけにもなります。
木を知ると、森が少し身近になる
木育の面白いところは、「木」だけで終わらないことです。
一本の木について知ると、その木が育った「森」にも興味が広がっていきます。
日本には森林が国土の約3分の2を占めるほど、たくさんの森林があります。
その中には、人が植えて育ててきた人工林もあれば、自然の力によって成立してきた天然林もあります。
そして、私たちが使っている木材の中には、森林で育った木を伐って、製材し、家具や建物、おもちゃなどの製品にしたものがあります。
前回の記事でも紹介したように、森林を守ることは「木を一本も伐らないこと」と同じではありません。
なぜ日本の木で積み木を作るの?木を使うことと森林を守ることの関係 | つみきーずのもり
適切に森林を管理し、木を伐って使い、その後に植えて育てる。
こうした森林資源の循環が大切だと、林野庁も説明しています。
だからこそ、
「この積み木は木からできている」
というところから、
「その木は森で育ったんだ」
さらに、
「じゃあ、その森はどうやって育てられているんだろう?」
と考えてみる。
これも、木育の大切な学びのひとつです。
木育は「知識」よりも「気づき」から
木育というと、
「木の種類を覚えなきゃいけないの?」
「森林について勉強しないといけないの?」
と思うかもしれません。
でも、最初から難しい知識を覚える必要はありません。
まずは、
「木って気持ちいいね」
「いい匂いがするね」
「この木目、面白いね」
という感覚から始めてみる。
そして、
「どうして?」
「なんで?」
という疑問が出てきたら、一緒に調べてみる。
この「気づく → 疑問に思う → 知る」という流れそのものが、木への興味を育てていきます。
おうちでできる、簡単な木育
木育は、森に出かけなくてもできます。
たとえば、家にある木のおもちゃを使って、
「この木、どんな感じ?」
と触ってみるだけでも十分です。
親子で、
-
色はどんな色?
-
木目はまっすぐ?曲がっている?
-
重い?軽い?
-
つるつるしている?ざらざらしている?
-
匂いはする?
-
どんな形の木だったのかな?
と話してみましょう。
正解を当てる必要はありません。
「私はこう思う!」
と、それぞれの感じ方を話すだけでもいいのです。
さらに公園や散歩道で木を見つけたら、
「この木、葉っぱはどんな形?」
「幹はどんな模様?」
「木の実はある?」
と観察してみるのもおすすめです。
いつもの散歩が、ちょっとした「森の観察時間」に変わります。
「つみきーずのつみき」から始まる木育
私たちが「つみきーずのつみき」を国産のスギやヒノキで作っているのも、単に「木だから気持ちいい」という理由だけではありません。
木に触れることをきっかけに、
「木ってなんだろう?」
「この木はどこから来たんだろう?」
「森ってどんな場所なんだろう?」
と、子どもたちの興味が少しずつ広がっていってほしい。
IT技術の進歩が目まぐるしく、子どもたちの遊びも昔とは様変わりしましたが、100年前からずっと変わらず遊ばれてきた積み木を通じて、身近な環境のことを一緒に考えていきたい。
そんな思いがあります。
積み木を積んで、崩して、また積む。
その何気ない遊びの中に、
「木って面白い!」
という気づきがひとつ加わったら、それも立派な木育です。
木とふれあい、木を知り、森を知る
木育は、難しい勉強から始まるものではありません。
木に触れる。
木で遊ぶ。
木を使ってみる。
木を見て、匂いをかいで、触ってみる。
そして「どうして?」と考えてみる。
その小さな体験が、木や森について知るきっかけになります。
そして木を知ることは、私たちの暮らしや自然環境について考えることにもつながっていきます。
木とふれあい、木に学び、木と生きる。
そんな木育の入り口を、まずは身近な木のおもちゃから始めてみてはいかがでしょうか。