「木のおもちゃ」と聞くと、なんとなく自然にやさしいイメージがありますよね。
特に、国産の木を使った積み木なら、
「日本の木を使っているから、環境にもいいのかな?」
と思う方もいるかもしれません。
でも、ここで少し不思議なことがあります。
木を使うということは、森の木を伐るということ。
木を使ったら、森から木がなくなってしまうではないか!?
それなのに、なぜ「木を使うこと」が森林を守ることにつながるのでしょうか?
今回は、私たちが普段遊んでいる「積み木」から少し視野を広げて、日本の森林と木材利用の関係について考えてみたいと思います。
日本は「森林の国」
まず、日本にはどのくらい森林があるのでしょうか?
実は、日本の国土の約3分の2が森林です。
山道を走っていると、ずっと木々が続いていることがありますよね。
「日本は木がたくさんある国」というイメージは、決して間違いではありません。
ところが、
「木がたくさんある=森林が元気」
というわけではないのです。
ここが、今回のお話の大切なポイントです。
森林には「人工林」と「天然林」がある
ひとことで「森林」といっても、実はさまざまな森があります。
その中でも、まず知っておきたいのが、
**「人工林」と「天然林」**という違いです。
🌲 人工林とは?
人工林は、人が苗木を植えたり、育てたりしながらつくってきた森林です。
日本では、戦後の住宅需要などを背景に、スギやヒノキなどがたくさん植えられました。
人工林では、木を植えるだけでなく、成長に合わせて間伐などの手入れを行い、木材として利用できるように育てていきます。
つまり人工林は、
「人が木を育て、将来利用することを前提として管理している森」
と考えるとわかりやすいでしょう。
🌳 天然林とは?
一方、天然林は、その地域にもともと生えている樹木などが自然の力によって更新してきた森林です。
人が植えて育てる人工林とは違い、さまざまな樹木や植物が混ざり合っている森も多くあります。
ただし、「天然林=人間がまったく手を入れていない森」というわけではありません。
長い歴史の中で、人が利用したり、管理したりしてきた森林もあります。

人工林と天然林、どちらが大切?
ここまで読むと、
「天然林のほうが自然だから、人工林より大切なのでは?」
と思うかもしれません。
でも、そういう単純な話ではありません。
天然林には、生き物のすみかになったり、水を蓄えたり、土壌を守ったりするなど、さまざまな役割があります。
一方、人工林も、木材を生み出すだけではありません。
森林として、CO₂を吸収したり、水を蓄えたり、土砂災害を防いだりする役割があります。
そして、人工林で育った木を適切に利用することで、森林を「植えて、育てて、使う」という循環につなげることができます。
大切なのは、
「人工林か天然林か」ではなく、それぞれの森林を適切に守り、活かしていくこと
なのです。
「木がある」のに、なぜ森林を守る必要があるの?
日本の人工林には、戦後に植えられたスギやヒノキなどがたくさんあります。
そして現在、その多くが成長し、木材として利用できる時期を迎えています。
木は植えたら、それで終わりではありません。
成長した木を適切に伐り、木材として利用し、その後に新しい木を植えて育てる。
このサイクルを続けていくことが大切です。
つまり、日本の森林では、
「木が足りない」のではなく、「育った木をどう活用し、次の森林につなげていくか」
ということも大きな課題になっています。
「木を伐ること」は、森を壊すこと?
ここは少し誤解されやすいところです。
もちろん、無計画に森林を伐採してしまえば、自然環境に大きな影響を与える可能性があります。
だからこそ大切なのが、
「適切に管理された森林から、適切に木材を利用する」
という考え方です。
人工林では、木が密集しすぎると、木々が十分に光を受けられなかったり、成長しにくくなったりします。
そこで、成長した木を伐ったり、間伐したりしながら、森林を適切な状態に保っていきます。
そして、伐った木を建築材や家具、紙、木のおもちゃなどに利用する。
その後、必要な場所には新しい木を植えていく。
「伐る」と「守る」は、必ずしも反対ではないのです。
木は、CO₂を「ためておける」
森林と環境の話でもうひとつ大切なのが、二酸化炭素(CO₂)です。
木は、成長する過程で大気中のCO₂を取り込み、炭素として体の中に蓄えています。
そして、その木を木材として使えば、木の中に蓄えられた炭素を、製品として利用している間も保持することができます。
たとえば、
🌲 森で木が育つ
↓
CO₂を吸収する
↓
🪵 木材になる
↓
🏠 家や家具になる
↓
🌱 新しい木を植えて育てる
という循環です。
もちろん、木材にすればCO₂を吸収し続けるという意味ではありません。
「育っている間に吸収した炭素を、木材として長く使うことで蓄えておける」
というイメージです。
若い木の方がCO₂の吸収率が高いため、植えた木をほったらかしにするのではなく、一定のサイクルで伐採⇒植樹をしていくことで、より効率よくCO₂を吸収することが出来るのです。
「木を使う」ことにも意味がある
さらに木材は、鉄やコンクリートなどと比べて、製造・加工に必要なエネルギーが少ないという特徴もあります。
もちろん、
「木なら何でも環境にいい」
という単純な話ではありません。
どこで育った木なのか。
どのように伐採されたのか。
どのように運ばれ、加工されたのか。
そして、使った後にどうなるのか。
そうしたことまで含めて考える必要があります。
だからこそ、身近なところで国産材を使うことにも意味があります。
「国産材を使う」ことと、森林を育てること
国産材を使うということは、日本で育った木を、日本の暮らしの中で利用するということ。
木材が使われることで、森林を育てる仕事や、木材を加工する仕事などにもつながっていきます。
そして、木材を使うことで「木を育て、使い、また植える」という循環をつくっていく。
つまり、
木を使うことは、森から何かを奪うだけではありません。
適切な森林管理と組み合わせることで、
「森を育てるために、木を使う」
ということもできるのです。
では、積み木は?
ここまで森林の話をしてきましたが、私たちの身近な「積み木」に戻ってみましょう。
積み木は、とても小さな木製品です。
一本の木から家を建てるほどの木材を使うわけではありません。
それでも、
「どこの木を使うのか」
「どのように育った木なのか」
「その木をどんな製品にするのか」
を考えてみることはできます。
私たちが使っている「つみきーずのつみき」も、国産のスギやヒノキを使っています。
手に取ったときの軽さ。
木目。
色。
香り。
ひとつひとつ違う表情。
そんな積み木の特徴を楽しみながら、
「この木も、森の中で何十年もかけて育ったんだな」
と想像してみる。
そうすると、いつもの積み木が少し違って見えてくるかもしれません。
子どもと一緒に「木の向こう側」を考えてみる
積み木で遊ぶことは、単に「木のおもちゃで遊ぶ」ということだけではありません。
木に触れる。
木の香りを感じる。
木目を見る。
重さや手触りの違いを感じる。
そして、
「この木はどこから来たんだろう?」
と考えてみる。
それは、森や自然、環境について知るきっかけにもなります。
たとえば、
「この積み木はスギからできているんだって」
「スギは森で何十年もかけて大きくなるんだよ」
「木を使ったら、また新しい木を育てていくんだって」
そんな会話から、子どもが森林や環境に興味を持つこともあるかもしれません。
木を使うことから、森を知る
「森林を守る」というと、少し遠い話に感じるかもしれません。
でも、
木のおもちゃで遊ぶ。
木の家具を使う。
木の家に住む。
国産材の商品を選ぶ。
そんな身近な「木を使う」という行動も、森林や林業について考える入口になります。
森を守ることは、
「木を一本も伐らないこと」
だけではありません。
「植えて、育てて、伐って、使って、また植える。」
そんな森林の循環を知ることも、森を未来につなぐための大切な一歩です。
積み木を手に取ったとき、
「この木は、どんな森で育ったんだろう?」
そんなことを少しだけ想像してみる。
それだけでも、木との付き合い方が少し変わるかもしれません。
次回は「木目」のお話
森で育った木は、一本一本違った表情を持っています。
まっすぐな木目。
波打つような木目。
濃い色、淡い色。
節のあるもの、ないもの。
次回は、そんな「木目」に注目してみたいと思います。
なぜ木には木目があるのでしょう?
年輪とは何が違うのでしょう?
そして、スギやヒノキ、ケヤキ、ブナでは、木目にどんな違いがあるのでしょうか?
身近な積み木から、もう少しだけ「木」の世界を覗いてみましょう。